タイルの貿易について

タイルは国内だけでなく、海を渡り、海外へも輸出されています。タイルの世界市場は、現在どのようになっているのでしょうか?

日本のタイル貿易について

日本から海外に輸出を行う際、船の手配、港までの運送業者の手配、税関へ提出する書類の作成など、多くの手続きを要します。

また貨物運賃や輸送期間が世界情勢によって変化することや、輸入者と輸出者で納得のいく「取引条件」を決める必要があることなど、海外貿易では押さえるべきポイントが多くあります。

輸出のしくみ

輸出のしくみ


日本のタイル輸出先はどんな国?

2020年の日本において、タイルの年間生産量は約348億円です。そのうち、日本から世界各国へのタイル輸出額は31.5億円です。

日本から最も多くタイルを輸出している国はアメリカで、半分ほどの割合を占めています。他には台湾や香港など、主にアジアの国々へ輸出されている中、近年ではオーストラリアとの取引も増えてきています。

日本のタイル輸出状況

日本の主要タイル輸出国(2020年)

国名輸出額の比率
アメリカ49%
台湾14%
香港12%
オーストラリア8%
フィリピン5%
韓国3%
シンガポール2%
その他7%

出典:財務省貿易統計「全国の統計品目情報」


日本の最大の輸出国:アメリカ

終戦後、一気に押し寄せたアメリカ文化の影響で、日本の一般家庭でも浴室やトイレに洋風タイルが使われるようになり、東濃地域ではモザイクタイル製造が地域の産業として発展しました。

当時、人件費や製造コストが安かった日本製タイルはアメリカにも盛んに輸出され、1984年には242億円以上の輸出売上を計上しました。しかしその後、1985年のプラザ合意で急激な円高となり、輸出額は急降下。

現在、日本にとってアメリカは最大のタイル輸出国でありながら、アメリカにとって日本のタイルは、わずか0.5%を占めるのみとなりました。

出典:The Tile Council of North America, Inc.「4Q 2020 U.S. Ceramic Tile Industry Update」
財務省貿易統計「全国の統計品目情報」

日本の陶磁器に魅せられて

ニューヨークの地下鉄には、駅名をモザイクタイルで装飾したものが多く見られます。1903年、ニューヨークの地下鉄は「ヘインズ&ラファージェ」という建築会社が設計をして開業しました。彼らは日本の陶磁器からインスピレーションを受け、タイル製作に関わったと言われています。

これらのタイルは「サブウェイタイル」と呼ばれ、機械生産ではなく昔ながらの製造方法で作られているため味わい深さがあり、現在でも人気があります。今でもアメリカのガレージファクトリーという工房で、小規模に生産されています。

サブウェイタイル

サブウェイタイル

高品質とサービスを日本の武器に!

世界のタイル生産の主要国

タイルの歴史が深いスペイン、歴史と文化に彩られた最先端のデザイン発信地であるイタリア、最新設備や豊富な労働力によって「世界の工場」となった中国は、世界の主要タイル生産国として君臨しています。

アメリカやヨーロッパ、今後の経済発展が期待される東南アジア・アフリカ諸国などに向けて、各々の優位性を活かし、輸出額を伸ばしている状況です。

スペインのグエル公園

スペインのグエル公園


世界から見た日本のタイル

焼き物ならではの風合い・ゆらぎを活かした、日本の「和タイル」は、世界的に好まれる傾向にあります。また、大規模な工場では対応が難しい「小ロット生産」や「柔軟な対応力」も、世界市場で求められていると感じます。

日本ならではの「品質の高さ」「柔軟な生産対応」「繊細な美的感覚」が、日本製タイルの躍進のカギとなるのではないでしょうか? 今後世界に向けて、主要タイル生産国とは違う「日本のタイルの素晴らしさ」を、具体的な実例を交えながら、積極的に発信していく必要があります。

 侘び寂び陶板

和テイストの湿式タイルが世界では好まれる傾向。写真は「侘び寂び陶板

まとめ

世界のマーケットの中では小さく見える日本ですが、まだまだ日本にも、可能性は十分にあると考えています。

弊社は、2006年から他社に先駆けて海外展開を積極的に進め、2021年現在、国内トップクラスの輸出額となっています。また、海外の展示会にも精力的に出展し、海外のお客様との交流を深める中で、日本製のタイルへの関心の高さも、肌で感じてきました。

ICFF2019

NYで開催された見本市「ICFF 2019」のようす

近年では、岐阜県・多治見の伝統と職人技を生かしたオーダータイルブランド「TAJIMI CUSTOM TILES」や、美濃のつくり手と世界を繋ぎ「土」という資源にフォーカスしたインテリアプロダクトブランド「MINO SOIL」など、新たな活動も展開しています。

新型コロナウイルスの影響など、目まぐるしく状況が変化する世界経済ですが、エクシィズはこれからも、世界への挑戦を続けていきたいと思っています。

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