ゴミ問題と溶融炉について
今回は、日本が抱えるゴミ問題とゴミ処理性能に優れた溶融炉についてご紹介いたします。
- ※この記事は「News Letter Vol.18」の内容を再編集したものです。
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日本のゴミ問題
私たちが出しているゴミの量は?
私たちは毎日出しているゴミ。それは、私たちが生きている限り付き合わなければならない環境問題の一つと言えます。
2021年3月に環境庁が発表した2019年度のゴミ総排出量は年間4,272トン(東京ドーム約115杯分)。1人1日当たりのごみ排出量は約918g。つまり、りんご3個分くらいの重さのゴミを1人1日出しているということです。(一般廃棄物の量)
また、日本のごみ処理施設は1,067施設あり、その数は世界で最も多く世界の3分の2を占めていると言われます。この理由は、国土が狭い日本にはゴミを埋め立てる場所が少ないため、燃やしてゴミの量を減らすことと、高温で衛生的に処理する必要があるからです。
ゴミのゆくえ
私たちが出した燃えるゴミは自治体が所有する焼却施設で燃やされます。その際、ゴミが燃えた後に残った灰である「焼却灰」と焼却によって発生した排ガスが冷えたときに発生する「飛灰(ばいじん)」という二種類の灰が発生します。
これらの灰を「焼却残渣(しょうきゃくざんさ)」と呼んでいます。毎年大量に発生している焼却残渣や燃えないゴミは最終処分場で埋立られます。埋立廃棄物にはダイオキシン類や重金属類が含まれており、不適切に処理されると、これらの有害物質が土壌に流れ出し、地下水や河川を汚染することもあるのです。
溶融炉について
近年では、焼却残渣や廃棄物の無害化・処分量を削減を目的に「溶融炉」の導入が進んでいます。従来の焼却システムより、環境保全性に優れた溶融炉についてご紹介します。
溶融炉は、1300℃~1700℃の高温で廃棄物や灰を溶かし液状化させます。その後、出滓口(しゅっさいこう)から排出され冷却されると「溶融スラグ」となります。溶融スラグとは、ガラス質の物質です。
溶融炉のメリットには以下のようなものがあります。
- 減容化 ‐ 残渣や灰を溶かし、固めることで容積が6%にまで減少。最終処分場の延命につながる。
- 無害化 ‐ 残渣や灰には有害物質が含まれることが多いが、溶融炉でダイオキシンは熱分解されて、他の有害物質は飛灰の方に分離されるのでスラグは安全になる。
- 資源化 ‐ 安全性の高いスラグは、アスファルトに混ぜて路盤材として使用したり、コンクリートに混ぜて骨材として使用することが可能。資源として再利用することができる。
3Rを合言葉に
今、世界ではゴミ焼却時の温室効果ガス問題・海洋プラスチック問題・最終処分場の寿命問題など、様々なゴミに関わる問題を抱えています。産業が発展し生活が便利になり、私たちが新しいものを作り・買い・捨ててきた結果、ゴミ問題は深刻なものになっています。
3Rとは、ゴミを減らし環境を守るために大切な「3つのR」の頭文字を取った言葉で、いま私たちが実行すべき大切なスローガンです。3つのRとは、以下の言葉です。
- Reduce(リデュース) ‐ ゴミの量を減らす。すぐゴミになるようなものを買わない・もらわない。
- Reuse(リユース) ‐ 物は繰り返し使う。壊れたら修理したり、いらなくなったものは人にゆずり繰り返し使う。
- Recycle(リサイクル) ‐ 再生して利用する。ゴミは分別して出し、新しい資源として生まれ変わるようにする。
使う資源の量を減らしたり、再利用を行えばゴミの量は減ります。ゴミの量が減れば処分する量・埋める量も減少し、私たちの健康や環境が守られ、サステナブル・循環型社会の実現につながります。
まとめ
いかがでしたか?
環境問題に取り組むエクシィズでは、ecoRevo®事業にて溶融スラグを使ったリサイクルタイルを開発し、製品化しています。今後も「タイル産業を担う一員として未来の地球のためにできること」を考え続け、力を尽くしていきたいと思います。
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