弊社の新しいシャトル窯のご紹介

2023年1月末、弊社のラボに新しいシャトル窯が納品されました。今回導入予定の窯は、2立米のガス窯。自動化されたガス制御で、「酸化」「還元」といった窯の雰囲気をコントロールできるようになります。今回は、その新しいシャトル窯についてご紹介いたします。

本格シャトル窯導入で、生産能力が大幅に向上!

今回導入予定の「シャトル窯」は、2立米のガス窯です。現在メインで稼働している「大型電気窯」と比較すると、炉内サイズは約13倍、一度の焼成で約10倍のタイルを生産可能になります。

また、従来の電気窯と違い「火」で焼き上げるため、還元焼成のような、窯の雰囲気(炉内の酸素量)を利用した技法が可能になりました。しかも、弊社が導入したシャトル窯は「O2センサー」と「自動ガス制御装置」により、窯の雰囲気を正確にコントロール可能で、「酸化焼成・還元焼成」による、表現の幅・精度の向上が期待できます。

  • 先日納品された、2立米のシャトル窯。

  • コンピューター制御で、温度や酸素量を管理できます。

新窯導入の目的

本格的なシャトル窯の導入で「エクシィズは、タイルメーカーになるつもりなの?」と思われるかもしれませんが、今回の件は、そのような目的とは少し違います。


目的1: 特注タイルへの対応強化のため

弊社・エクシィズの強みは「小ロットから注文できるオーダータイル」にあると自負しています。日頃、お客様のお話をお伺いしていると、「こだわりの、個性溢れる特注タイルを作りたくて、様々なメーカーに相談したが、生産枚数が少な過ぎる、製造の手間が掛かり過ぎるといった理由で、断られてしまった」といった、設計士・デザイナーやアーティストの方からのお声を、しばしば耳にしてきました。

しかし、大きな設備を動かしているタイルメーカーさんの立場からすれば、無理もない話。生産枚数の少ない、手間の掛かる特注タイルを、製造ラインに流してしまうと、採算が合わなくなってしまいます。

このような、お客様とメーカーとの需要・供給のミスマッチを解消するため、社内にシャトル窯を導入し、「小ロット・特注タイル」の生産に特化した、生産体制の確立を目指しているのです。

  • 炉内サイズは、約90×190×120cm。100角タイルの場合、1回の焼成で、最大15m2のタイルが生産可能です。

  • 右が今回導入の新窯。左に見えるのが、現在メインで使用している大型電気窯。

新窯導入で、特注タイルのサンプル製作が自社完結できるケースが増えるのも、非常に大きな魅力です。建材のサンプルを迅速に手に入れ、オーナー様にご納得いただけるプレゼンをすることは、設計士・デザイナーのお客様にとって、何よりも大切なこと。

自社の窯で特注サンプルを焼成し、柔軟かつスピーディーに対応できることは、弊社とお客様との連携を強化し、試行錯誤を繰り返して、ベストなタイルサンプルをご用意するための、大きなアドバンテージになると考えています。


目的2: ecoRevo®リサイクルタイルの研究・開発強化のため

また、リサイクルタイルの研究・開発チームを抱える弊社としては、自由な温度や条件で、いつでも焼成が行える環境は、喉から手が出るほど欲しいものでした。

ecoRevo®のリサイクルタイルは、通常のタイルとは焼成温度が違い、素地の原料成分も異なるため、他社メーカーさんに焼成をお願いづらいという事情があります。自社に本格的なシャトル窯を導入することで、研究活動の自由度が格段に広がりますし、特注リサイクルタイル開発の対応強化にも繋がります。

  • 温度雰囲気制御装置。自社で還元焼成を行えるようになりました。

  • 窯の制御方法をレクチャーいただき、ecoRevo®メンバーが、真剣に操作確認中。今後のリサイクルタイルの進展にも、ご期待ください!

まとめ

いかがでしたか? エクシィズは、タイル商社という立ち位置で、お客様とタイルメーカーの橋渡し役として、これまで数多くのプロジェクトに携わってきました。そして、時代と共にアプローチは変えつつも、「お客様のご要望をいかにして実現するか?」というスタンスを、常に変わらずに持ち続けています。これからも、お客様とタイルメーカー、双方の考えに耳を傾けつつ、「エクシィズにできることは何か?」を追求していきたいと思います。

さて、いよいよ新しいシャトル窯の準備が整い、来月には本稼働を開始予定です。初窯では、お手製の「左馬(ひだりうま)」の茶碗を焼いて、縁起を担ぎたいと思います。初窯の様子も、当ブログでご紹介したいと思いますので、どうぞお楽しみに!

  • 一度に入れられる棚板の大きさ・数が格段に増えて、製品開発に精が出そうです!

  • 初めての火入れ。緊張の瞬間。

  • 本稼働前に、半日程度の「空焼(からやき)」を数回行い、炉内のレンガを焼き締めます。

  • 今後、永くお世話になるであろう、新しいシャトル窯。末永くよろしくお願いします!

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