役物タイルの可能性
「役物タイル」は、仕上げの美しさを際立たせ、メンテナンス性も向上させる、縁の下の力持ち的存在。今回は、そんな役物タイルにスポットライトを当て、タイルの奥深さを探求します。
- ※この記事は「News Letter Vol.23」の内容を再編集したものです。
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役物タイルとは?
一般的な平物タイルでは納まりにくい「開口部」や「隅角部」に使用する、特殊な形状のタイルのことを「役物タイル」と言います。
役物タイルは、生産も施工も手間が掛かりますが、ぴったりと納まった入隅・出隅やコーナーは、美しく均整の取れた空間演出に大きな役割を果たしています。
「神は細部に宿る」と謂われますが、入隅・出隅やコーナーの役物タイルにまで、しっかりと拘っている建物は、ワンランク上の風格・上質感を印象付けることができます。
役物タイルの種類
外装壁の役物タイル
内装壁の役物タイル
時代の変化と、役物タイルの歩み
明治後期頃
イギリスからの影響を受け、ヴィクトリアタイルを手本として、タイルが盛んに作られていた時代です。当時建てられた歴史的建造物の中には、トイレや風呂場だけでなく、玄関スペース、内部の部屋の装飾として、贅沢で華やかな装飾タイルが使われています。
その納まりには、現代では見られなくなってしまった豊富な形状、美しいデザインの役物の数々を見ることができます。
大正時代
大正デモクラシーをきっかけに、タイルが日本の民衆の生活に定着し始めた時代。たばこ屋の台座、菓子屋のショーケース、写真館などに、時代の先端を行くハイカラな装飾品として、タイルが使われ始めました。
銭湯や温泉地では、衛生観念の発達に促され、木造だった浴槽や洗い場にタイルを使用するようになり、タイルは一気に庶民の生活に広く普及しました。特に水廻りに適したタイルは、この時代に発展しました。
デザイン性に富んだ、アメリカの役物タイル
日本では役物形状は、シンプル且つ限られたものになりつつありますが、アメリカでは、今でもデザイン性の高い豊富な役物タイルが数多く存在します。生活を豊かに彩ってくれるタイルは、彼らのライフスタイルに欠かすことのできない身近な建材で、それ故に、今でも尚、高いデザイン性や装飾性が求められています。
デザイン性の高い空間装飾を実現する上で欠かすことのできない、豊富な形状の役物タイルの需要は、アメリカ市場にはまだまだ存在する! 日本のタイルを世界に発信していく上で、今後、豊富な役物形状を生産していくことは、タイル業界にとって、重要な鍵になるかも知れません。
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