アメリカ出張と「COVERINGS 2023」
先日の台湾に続いて、今月は久々のアメリカ出張です。アメリカは日本のタイル輸出の約50%を占める、非常に重要な輸出相手国。弊社も例外ではなく、アメリカのタイルマーケットを知ることは、今後のビジネスを占う上で大きな意味を持ちます。
今回の出張では、アメリカ最大のタイルショー「COVERINGS 2023」の視察と、取引先の訪問も行い、充実した旅となりました。今回は、そんなアメリカ出張の様子をご紹介いたします。
COVERINGS 2023
「COVERINGS」は、フロリダ州オーランドで行われる、世界最大級のタイル・石材の見本市で、世界40ヵ国から様々なタイルメーカーが参加し、新製品やタイルアートの展示・商談の場となっています。
弊社も、コロナ以前は毎年のように出展していましたが、最近は少しアプローチを変え、今回は出展は行わずに、来場者としての参加となりました。
やはりトレンドは「大判タイル」と「インクジェットプリント」
会場では、近年のトレンドである「大判タイル」と「インクジェットプリント」が多く取り上げられており、様々なメーカーが大々的に展示をしていました。
弊社が取り扱う大判タイル「COVERLAM」シリーズの製造メーカーである、スペイン・GRESPANIA社のブース。GRESPANIA社の担当者と久々の再会を果たし、近況報告や今後の動向などで話が弾みます。「COVERLAM」シリーズのほか、木目調の大判タイルなどが人気だそうです。
最近では、インクジェットプリントによる色ムラの再現も発達してきており、色幅パターンを何百種類も用意し、色幅を完璧にコントロールしながら、自然な風合いを表現可能になりつつあるようです。
とはいえ、インクジェット技術が向上し需要を伸ばしつつも、釉薬ならではの風合い・質感も、まだまだ求められるでしょう。釉薬の特性や、従来の製法を突き詰めたような、個性的なタイルも見受けられました。
モザイクタイル・大理石細工
モザイクタイルを展示するブースも、多く出展していましたが、昨年出展した「ミラノサローネ2022」と比較すると、タイルアート作品の出品は少ない印象。しかし、印象深いタイルも展示されていました。
面状の凹凸の揺れが特徴のモザイクタイルコレクションが、いくつかのブースで見られ、独特の風合いが面白く、印象に残りました。また、大理石をカットして作られた象嵌(ぞうがん)加工や彫刻タイル、モザイクアートはデザインのバリエーションも豊富で、新鮮味があり、見ていて飽きませんでした。
その他、印象に残ったタイル
その他、印象に残った展示としては「ジャパニーズ・テイスト」を意識したタイルが、しばしば見られたことです。世界的な日本食ブームや、日本の個性的な伝統文化に注目が高まっていることも、関係しているかも知れません。
また、木目調・バンブー調など、アジアンな雰囲気のタイルも見られました。これらは、タイルの特性である耐候性の高さや、湿気・水濡れによる伸縮や腐食が起きない点など、タイルならではの利点がありそうですね。
エコロジー関連では、リサイクルガラスを使用したタイルの展示もありました。
現地のパートナー企業を訪問
その後、オレゴン州ポートランドに移動し、弊社のアメリカにおけるディストリビューターであるANN SACKSさん、Design and Direct Source (DDS)さんを訪問しました。ANN SACKSさんは、16年前に弊社がCOVERINGSに出展した際に出逢い、それ以来の長いお付き合い。DDSさんとも10年以上のお付き合いとなります。
コロナウイルスの流行で、久々の訪問となりましたが、皆さんお元気そうで、温かく歓迎してくださいました。
アメリカのタイル文化
その後、飛行機の時間まで余裕があったため、オレゴン州ポートランド市内を散策しました。市内の建築物を観察しながら歩いていると、外壁にタイルを使用した5階建てのビルを見掛けました。
日本では地震が多いこともあり、タイル剥落のリスクも考慮し、高層部の外壁タイルの使用は避けられる傾向にあります。アメリカと日本の、文化や環境の違いは、このようなところにも表れているようです。
日本では、ビルやマンション、商業施設でのタイルの需要は多くありますが、一般住宅でのタイルの使用は、時代と共に、トイレやバスルーム、キッチン等からめっきり減りました。建築資材の技術発展によって、コストを抑えたユニットバスなどが主流になってしまいました。
アメリカでは、一般住宅でもタイルを使用する慣習が浸透しています。これは、欧米の生活習慣によるところもあるでしょうが、タイルが身近に感じられる環境は、とてもうらやましく感じます。
タイルがレトロなインテリアとして注目される、日本の現状を思いつつ、「日本でも、もっとタイルが身近になれば良いな」などと考えながら、アメリカを後にしました。
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