【ミラノサローネ特集】世界のデザイントレンドと、タイルマーケットの最前線

2022年6月7日(火)~12日(日)、イタリア・ミラノで開催された世界一のデザインの祭典「ミラノサローネ2022 (Salone del Mobile.Milano 2022) / ミラノデザインウィーク」が開催されました。

弊社は「Tajimi Custom Tiles」としてミラノデザインウィークに出展。ASSAB ONEでの3名のデザイナーによるインスタレーションイベントは、多くの来場者からの反響をいただきました。

今回は「ミラノサローネ / ミラノデザインウィーク」特集の第2回目。世界中の最先端のデザイン・アートが集うこのイベントを見て感じた、世界のデザイントレンドと、タイルマーケットの最前線をご紹介いたします。

意匠の可能性を追求するタイルメーカーたち

ミラノサローネは、元々は家具・インテリアの展示会とはいえ、やはりタイルの本場・イタリア。数多くの世界のタイルメーカーが、意匠の可能性を追求した展示ブースを構えていました。

MARAZZI社の姉妹ブランドであるRAGNOは、インクジェットプリントによるデザインパターンが豊富で、また、ハンドペイントによるモザイクのような壁画作品も見応えがありました。

LITHEAは、3Dに加工した石材タイルが特徴的。インパクトのあるデザインで、多くの来場者の目を引いていました。Nero Siciliaは、溶岩石のタイルを生産するシチリア島のメーカー。溶岩石の質感と、個性的な釉薬の表現が面白いメーカーでした。

また、床材・壁装材というこれまでのタイルの用途に囚われない、インテリア全体との一体感を目指すような動きも面白いと感じました。Mutinaなどはまさにそれで、「タイル」「セラミック」というテーマをもとに、自由な発想で空間全体のプロデュースを行う考え方は、タイルの新しい可能性を模索する上で、とても大切なことだと感じました。

  • RAGNOは展示方法も独創的で、世界観に引き込まれました。

  • 面状や柄を活かしたモザイクアート。大胆なデザインとタイル選定が見どころ。

  • タイルそれぞれのムラ感が、良い味わいとなっています。

  • DECORATORIは、コバ4面まで施釉された美しい仕上がりが、シンプルなタイルを際立たせていました。

  • LITHEAは、複雑な立体面状を活かしたダイナミックな壁面。

  • 前衛的で大胆な壁装表現が刺激的です。

  • Nero Siciliaは、エトナ山の溶岩石からタイルを生産するメーカー。

  • 溶岩石に釉薬を焼き付けた、実験的な色彩表現。

  • Nero Siciliaの「MOSAICO MICRO」シリーズは、廃ガラスをリサイクルしたモザイクタイル。


Mutina

Mutinaは、多くのデザイナーとのコラボレーションを手掛けるタイルブランド。Tajimi Custom Tilesが参考にしたいことも多くあり、製品に関する情報交換や、様々なアドバイスをいただきました。

空間のトータルプロデュースを目指すMutinaは、オリジナルの大判タイルやデザイナーとのコラボレーション製品など、品数はそこまで多くないものの厳選されており、製品力の高さや展示方法、販売手法など、勉強になることばかりでした。

  • Mutinaのインスタレーション。

  • タイルやインテリアのコーディネートが新鮮な驚きに溢れています。

  • 色や質感、役物の形状など、どの製品も高い完成度。

  • ブルレック兄弟によるデザイン。タイルを組み合わせて作られた花瓶。

  • ブルレック兄弟デザインのタイル。

  • こちらの有孔ブロックもブルレック兄弟作。

  • 参考になるアドバイスを沢山いただきました。

技術トレンドは、大判タイルとインクジェットプリント

タイルの製造技術の向上により進むタイルの大型化。その影響もあり、大判タイルを扱うブースも目にしました。MARAZZIは20mm厚の大判タイルに特化したブースを展開。RAGNOは、インクジェットプリントをはじめ、豊富な加飾表現が印象に残りました。

  • MARAZZIは、20厚の大判タイルに特化。

  • テクスチャーを面状にあしらった、Mutinaの大判タイルのテーブルトップ。

  • インクジェットプリントを施した、RAGNOの大判タイル。

  • RAGNOの大判タイルは、面状や凹凸のあるプリントなどバリエーションが豊富。

  • Nero Siciliaのインスタレーションは、溶岩石の大判タイルを貼り合わせて、コバ面に施釉したもの。


大判タイルのクッキングヒーター

ミラノでは、12厚の大判タイルのテーブルトップの下に、IHコンロを仕込んだクッキングヒーターを何度か見かけました。テーブルトップとコンロを一体化することで、無駄を排したシンプルなデザインを実現。金属に反応して熱せられるため、手で触れても火傷の心配はありません。今後は、このようなスタイルのキッチンが一般的になっていくかも知れませんね。

  • 僅かにブラストされた丸印が、ヒーター部の目印。

モザイクタイルの2大メーカー

世界的なモザイクタイルのブランドといえば「SICIS」と「BISAZZA」。確かな技術に裏打ちされた、美しく多彩な表現は、観る者を魅了し続けています。


SICIS (シチス)

芸術的なベネチアンモザイクを現代に継承する、モザイクタイルアートのトップブランド。最高級のベネチアンガラスと、熟練の職人たちによって紡がれるモザイクアートは、まさに超一流の芸術です。豊富なカラーバリエーションによる繊細な色彩表現も、本当に勉強になりました。

  • Rho FieraのSICISのブース入口。

  • Fuori Saloneのショールーム階段エリアに圧巻の壁面モザイク。

  • 透明感と光沢感を併せ持つベネチアンモザイクは、まるで宝石のよう。

  • 見応え抜群の、美しいタイルアート。

  • 細かなカットで仕上げられた鱗のライン。魚のギラッとした光沢感も、見事に表現されています。


BISAZZA (ビザッツァ)

1956年、北イタリアにて創業したBISAZZAは、ガラスモザイクタイルの業界をリードするメーカー。数多くの世界のトップデザイナーとのコラボレーションを成功させ、この分野の草分け的存在となっています。今回の展示では、様々なデザインパターンのモザイクタイルアートが並べられ、豊富なデザインと仕上げの美しさに目を見張りました。

  • Fuori SaloneのBISAZZAのショールーム。

  • モザイクタイルベンチ。空間に映えるデザインパターンが勉強になります。

  • タイルカットや目地仕上げの美しさはさすがです。

サローネ・サテリテで見つけたサステナブル製品

昨今のSDGsの盛り上がりの中、サステナブルをテーマにした展示も見られました。弊社のecoRevo®に近いアプローチなどもあり、とても参考になりました。

  • 焼却灰を釉薬に再利用したリサイクルの器(うつわ)。

  • 動物の骨や廃粘土など、様々な廃材をリサイクル。

  • 廃ガラスを再利用した砂利。

サステナブルと共に盛り上がる「テラゾー」のリバイバル

「テラゾー(人造大理石)」とは、天然大理石を砕いてセメントと混ぜて作られた人造石です。高価な天然の大理石の代替として利用されてきたテラゾーですが、サステナブルが盛り上がる昨今、その製法に注目が集まり、さまざまな廃材を再利用して生産された「テラゾー」のリバイバルが起きています。

サローネ会場でも、廃材を利用して作られた「テラゾータイル」が展示されていました。

まとめ

いかがでしたか?

「ミラノサローネ / ミラノデザインウィーク」では、トレンドに敏感な来場者を満足させるため、世界中の先鋭なデザイナーやブランドが集結します。展示内容は、最先端の技術やデザインを用いた、コンセプチュアルで実験的なものも多く、まさに次の時代のインテリアデザインのトレンドの発信源ともいえる場所です。

今回、タイル・セラミック関連を中心に様々なブランドのブースを視察する中で、素晴らしい刺激を得ることができました。また、世界で戦っていく上で、私たちに足りていないことや、ビジネスチャンスなど、多くのことに気付かされた1週間となりました。

タイル文化の成熟したイタリア・ミラノで得た今回の経験を、今後のブランディングや製品開発に活かしていきたいと思います。

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