タイルの目地について
タイルや石材を施工する上で必要とされる「目地」。これは、タイル1枚1枚の微妙なサイズのバラつきを調整するのみならず、ヒビ割れや剥離・脱落などを緩和する重要な機能も持っているのです。今回は、目地の機能性と美的役割をご紹介します。
- ※この記事は「News Letter Vol.4」の内容を再編集したものです。
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もしも目地が無かったら?
建物は、湿気等の環境条件によって、下地(躯体)の素材が伸縮してしまう可能性があります。また、タイルや石材自体も、熱等により伸縮を起こします。目地無しでタイルを突き付けて施工すると、伸縮を吸収することができず、タイルに直接負荷がかかり、タイルが欠けたり、ヒビが入ったり、最悪の場合は剥がれ落ちることもあります。
目地には大切な役割があります。「ネムリ目地(突き付け目地)」での「目地無し施工」を好まれる方も多くいらっしゃいますが、やはりタイルや石材を施工する場合は、目地本来の機能を活かし、尚且つ、目地を楽しんでくださいね!
目地材の種類
セメント系目地材
一般的によく使用される目地材で、内外装タイル用に調合されています。
ブリック目地材
モザイクタイルの施工に最適な骨材配合に調整したものや、レンガ積み及び10mm以上の目地詰めができるように粗い骨材が配合されているものなどがあります。
目地詰め方法
目地詰めの方法には、主に「塗り目地」と「一本目地」があり、タイルや石材などの表面状態や材質などによって使い分けます。
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塗り目地仕上げ
目地材などをゴムゴテなどでタイル全面に塗り込み、目地ゴテで目地押しした後、タイル表面に付着した余分な目地材を水に濡らしたスポンジで拭き取り、仕上げる方法です。
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一本目地仕上げ
目地パックで目地材を注入し、目地ゴテでタイル表面に付着しないように、目地の部分のみに目地材を押し込んで詰めていく方法です。
見せる目地!「覆輪(ふくりん)目地」
今ではほどんどお目にかかることが無い、特殊な美しい目地をご紹介します。断面が半円形で中央部を丸く盛り上げ仕上げられている「覆輪(ふくりん)目地」と呼ばれているものです。
今から100年ほど前、日本にも西洋風レンガ造りの建築物が建てられるようになると、目地を強調するだけでなく、レンガの美しさも引き立てる効果がある日本独特の「覆輪目地」が使われました。現在これを見ることができる建築物は、近年改装工事を終えたと「東京駅丸の内駅舎」です。今回この工事に携わった方々の多大なる努力にて、創建時に限りなく近い覆輪目地が再現されています。
西洋文化と、古くから日本人が持ち続けた美しさへの探求心との融合を、東京駅で身近に感じてみてはいかがでしょうか?
「貼り板(張り板)」とは?
同じパターンで、沢山のモザイクタイルや石材を施工する場合は「タイルシート」を使用します。タイルシートは、パターンに並べられたタイルを、紙やネットで固定したものです。シートを使えば、細かいモザイクタイルでも、効率良く施工することができます。
このタイルシートを加工・製造する際に使われるのが「貼り板(張り板・はりばん)」と呼ばれる専用の板です。モザイクタイルを決められた枠の中にセットし、紙やネットを糊付けして、シートが完成です。材料のサイズや形状により、それぞれ専用の「貼り板」を使用してシートの加工をします。オートメーション化が進んだ工場では「自動貼機」を使用して、大量にシート貼り加工が行われています。
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