タイル製作レポート:多治見市大薮町ラウンドアバウト ~その1:製作編~

皆さんは「ラウンドアバウト」をご存じですか? ラウンドアバウトは「環状交差点」とも呼ばれる交差点の一種で、ヨーロッパなどでよく見られる方式ですが、事故が起こりにくく、災害に強いという特徴から、近年、日本でも注目を集めています。

先日、弊社の地元でもある多治見市より、ラウンドアバウトのためのタイルアート製作のご依頼をいただきました。そこで今回は、その製作の様子を、複数回にわたってレポートしたいと思います。

ラウンドアバウトとは?

ラウンドアバウトは「環状交差点」とも呼ばれる交差点の一種で、信号機が無く、交差点中央に設けられた、円形の島を周回しながら、目的の方向に分岐していく方式です。

主にヨーロッパなどでよく見られる方式で、一見すると事故が起こりやすそうな印象ですが、統計的には事故は起こりにくく、事故が起きても重大化しにくいと云われています。また、信号機を使わないので、待ち時間が短く、災害時・停電時にも機能し続けるため、近年、日本でも注目を集めています。

  • Halton Roundabout, Chirk, Wrexham, UK
    Photo by DronePics.Wales

  • アニメ「耳をすませば」で有名になった、多摩市・聖蹟桜ケ丘にあるラウンドアバウト。

  • 長野県下伊那郡高森町・明神橋西ラウンドアバウト

  • 栃木県宇都宮市・西川田ラウンドアバウト

今回工事予定の、多治見市大薮町の交差点は、見通しの良い、直線道路の交差点なのですが、過去に重大事故がしばしば起きており、事故解消の切り札として、ラウンドアバウト導入を決めたそうです。

ラウンドアバウトの中央島は、芝生や樹木を植えたものや、コンクリートで固めたものなど様々ありますが、「植物だと草抜きなどのメンテナンスが大変」「コンクリートだと華やかさに欠ける」と一長一短。

そこで、装飾性とメンテナンス性を併せ持つ、タイルの出番です! タイルの街・多治見をアピールできる、素敵なラウンドアバウトをご提案させていただきます!

タイルアートのデザイン・割付

まずは、ラウンドアバウト中央島のデザインから。今回は、現場近くに咲く「大薮のしだれ桜」を、タイルアートのモチーフにしました。多治見市の天然記念物として、地元で親しまれている桜をモチーフにすることで、地元住民の方たちに永く愛されるランドマークになって欲しい、という願いを込めました。

  • デザイン・割付図の製作風景。

  • 今回は「円形タイル」と「乱形タイル」でコーディネートしてみます。

  • デザイン完成。桜の花をモチーフに、華やかな空間演出を目指しました。

  • デザインが完成したら、原寸大の割付図を印刷し、タイルアートチームに製作依頼。

中央島を内円・外円に分け、内円部は膝丈ほどの高さにして、クラッシュタイルで桜の花を表現。外円部には、65丸の「宙(そら)」使用したモザイクアートをあしらいます。また、内円部側面は、結晶釉の色ムラ感が味わい深い、100角の和タイルを、アクセントとして合わせてみました。

タイルアート製作

デザイン・割付が完成したら、原寸大の割付図を床に敷き、その上にタイルを並べていきます。納期も限られていますので、間違いが起こらないよう、慎重に作業を進めます。


こちらは内円部の桜のタイルアートの製作現場。乱形のクラッシュタイルのタイリングは「ランダム感」を上手く見せることがポイントです。同じような形のタイルが偏ってしまうと、違和感が出てしまうので、全体のバランスを確認しながら並べていきますが、これはタイリングのセンスが求められる作業。

乱形なので、割付図はあくまで目安。ほぼ職人の感覚が頼りです。複数人で分担しながら、タイリングのバランスが悪くなっていないか、チェックしながら進めます。

  • 乱形なので、割付図はあくまで目安。職人の勘が頼りです。

  • 細部に注意を払いながら、全体のバランスも考慮してタイリング。

集中力と根気がいる作業が続きますが、いよいよ作業も大詰め。休憩を取ろうと、ふと全体を見渡すと、大きな桜の花のタイルアートが! 頑張った甲斐がありました!

  • パズルを解くような、根気がいる作業。

  • 大変な作業も、この景色を見れば報われます!

紙貼り・梱包・出荷の準備

タイリングが終わったら、出荷に向けて「紙貼り」「採番」を行い、梱包します。段取り良く施工できるよう、施工手順を確認しながら、分かりやすい採番・梱包を心掛けます。

施工現場の職人さんが円滑に作業できるよう、気配り・思いやりを大事にしたいですね!

  • 「オモテ紙貼り」にしたタイルシートを、施工しやすいサイズに分割・採番。

  • 施工順序を確認しながら梱包作業。


桜のタイルアートも、施工しやすいサイズに分割。中心から外側に向かって施工することになるので、施工順に梱包していきます。

  • 並べたタイルが崩れないよう、慎重に紙貼りしていきます。

  • タイルシートの分割指示図。

  • 方向をしっかり確認し、墨出しを行います。

  • 乱形モザイクなので、分割線が少し複雑です。

  • 分割が終わったら、採番・梱包。

まとめ

いかがでしたか? 今回は、タイトなスケジュールでしたが、無事、納期通りに商品を納めることができ、ホッと胸を撫で下ろしました。様々な事情により、スケジュール等に制約がある案件のご依頼をいただくこともありますが、お客様のご期待にお応えできるよう、精一杯、ベストなご提案をさせていただきます。

今回の案件は、円型の施工箇所に、乱形や円形のタイルを採用することで、動きのある、ダイナミックなタイルアートに仕上がったのではないかと期待しています。完成が楽しみですね!

さて、次回はいよいよ「ラウンドアバウト 施工・完成編」です。お楽しみに!

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